BIC DV62si 改造
今回 youtuberのしけもくさんのスピーカー:BIC DV62si を改造させて頂けることになりました。改造と言ってもネットワークを弄るだけです。ただネットワークを変更すると音は大きく変わります。どうなるか自分でも楽しみ半分心配半分で行いました。
まずはそのままの状態で聴いてみました。
一聴してハイ上がりな特性なことが分かります。小音量の時はいい感じで聴けるのですが、音量を上げていくと正直言って耳が痛いです。音量によって評価が分かれそうなスピーカーだと思いました。
次に疑似無響室測定でスピーカーを測ってみました。念のため軸外特性も測っています。0-75° 15°刻みです。
測定結果をみて分かる通りハイ上がりで4kHz以上が高いです。測定結果としても上記の感想を裏付ける形になりました。
まずは現状のネットワークを調べてみます。それぞれのユニットの特性を測定しシミュレーションにて再構築してみました。(300Hz以下は気にしないでください。)
改造前の実測結果とほぼ同様な結果が得られているのでシミュレーションは正しく行われているものと思います。これを見るとクロス周波数は5kHzです。仕様では3.5kHzとなっていましたが少し違うようです。主にツイーターが受け持つ帯域を強調して刺激的に聴こえるように演出ししています。気になるのは7-10kHzの凹みです。これをどうにかするのは難しいので今回は概ねフラットを目指すことにしました。
シミュレーションにてネットワークを設計し次のようにしました。
F特は概ねフラット、クロス周波数4.2kHzでLinkwitz-Rileyで4次(-24dB/Oct)のフィルターを組みました。改造前と比べてクロスの重なっている部分が少ないのでスッキリした音になることが期待できます。また高音もだいたいフラットにしたので音量を上げても耳が痛いということはなくなると思います。
実際にネットワークを次のように作りました。
ネットワークの部品も少し良いものを使っています。フィルムコンデンサー、空芯コイル、酸化金属皮膜抵抗を使いました。
実際に試聴したところ第一印象は、透明感が高くバランスがいい音になったと思いました。耳も痛くありません。結構うまくいったと思いました。エージングでも変わるので、もしこの記事を参考に作る方がいれば、評価は暫く鳴らして最低でも次の日に行ってください。
改造前と同様に疑似無響室測定したところ、次の結果を得ました。
シミュレーションは強力で、ほぼ計算通りの結果が得られました。
これで終わりでもいいのですが、最近スピーカーのチューニングで音質向上にハマってまして、最後にF特が変わらない程度に手を加えました。音の伸びと音場が広くなったと思います。
Kenwood LS-1001 改造
kenwood ls-1001を改造しました。このスピーカーはミニコンポK'sのスピーカーとして製造されたもので、ミニコンポのスピーカーとして販売してました。また単品でも販売されています。スピーカーのフレームがアルミダイキャストだったり、2枚重ねのバッフルだったりとコストをかけた作りとなっています。1993年発売なのでバルブは弾けてますが、まだ当時はコストをかけた設計ができたのだと思います。ペア6万のスピーカーですが今これを作ろうとしたら倍はしそうです。
音的には柔らかい音で中低音に厚みをもたせたものになっています。当時の流行だったのでしょうが、魅力はありますが今となってはもう少しスッキリした音にしたいなと思う方が多数おられるようで、ネット上に改造記事が多数のっています。値段も1万円以下(オークション価格は5千円前後)で買えるので遊ぶにはもってこいのスピーカーとなっています。SNSで音がいいと勧められたこともあり購入してみました。
まず周波数特性を測ってみました。これを見ると分かる通りに3-5kHzが凹んでいます。これは意図的にしていると思います。この辺りの帯域は重要でここを凹ませると落ち着いた音色になります。
次にお手軽チューンとしてバスレフポートに吸音材を詰めることと、内部に吸音材を追加することを考えました。バスレフポートに吸音材を詰めるのはイマイチでした。もしかしたら詰め方や材質にもよるのかもしれませんがお勧めできません。
つぎに内部に吸音材を入れてみました。これはかなり効果があり、バスレフポートに詰めた場合と比較して、変な癖がありませんでした。結果的に画像の量を追加することにしました。はじめは倍を追加したのですがスッキリしますが、このスピーカーの中低音が厚い音の魅力がなくなってしまうと感じて少量にしました。
次にネットワークの調整を試みました。このスピーカーは1次ネットワーク(-6dB/Oct)となっていて、ツイーター側に8.1μFのコンデンサと7.4Ωの抵抗、ウーファー側に2.2mHのコイルが入っています。コンデンサは4.7,0.47,2.7,0.27の並列になっています。
ネット情報だとコンデンサを4.7μF、ウーファーを1.2mHに変更すれば良いとかいてありましたが、測定してVituixCADを用いてシミュレーションしてみました。
まずはシミュレーションで改造前のものです。だいたい上の測定結果と合っていることを確認しました。カタログのクロス周波数は1500Hzなのですがこれだと1200Hzですね。
次にネット推奨のネットワークです。コンデンサ:4.7μF、コイル:1.2mH
これだと600-1200Hzの帯域が盛り上がってしまいシミュレーション上はイマイチな結果となります。ツイーターの方は良さそうです。
最終的に採用したネットワークです。コイルはそのままの2.2mH、コンデンサは5.4μFとしました。2.7μFのコンデンサを抜いただけです。これでカタログのクロス周波数:1500Hzになりました。たぶん最終的な音の調整で音に厚みを持たせた方がいいということになり急遽2.7+0.27μFを足したのだと思います。元々は4.7+0.47μFだったのではないでしょうか。
試聴した結果、適度に音に厚みがある感じで改造前よりスッキリした音になりました。
簡単なので気になった方はLS-1001を手に入れて改造してみてください。
ネットワークに電解コンデンサを使っているので、余裕があればフィルムコンデンサにまた抵抗をセメント抵抗から無誘導巻線抵抗に変えるともう少し音が良くなると思います。予算に余裕があればやってみて下さい。
Sony SS-AL3改 アニソンオーディオフェス2020出品
2020/12/27に行われたアニソンオーディオフェス2020にスピーカーを出品しました。
出品にあたって何年か前に作った改造スピーカー:Sony SS-AL3改のネットワークを見直しました。シミュレーションだけはしてあったのですが、今回の出品を機に手直ししました。以下はその資料と頂いた感想です。
今回は完全な自作SPではないのですが、市販品エンクロージャーを流用した改造SPを製作しました。
SS-AL3は、エンクロージャーにイタリア アルフレックス社の協力を得たモデルでエンクロージャーの評価が高いモデルです。その分スピーカーユニットにしわ寄せがあったようで、SPとしての評判は高くありませんでした。そこに目を付けユニット&ネットワーク交換して改造を行いました。ユニットは大幅な加工が必要のないモデルを選定しました。
選定ユニット
・ツイーター:Visaton G20SC
・ウーハー:Wavecor WF152BD04
ネットワーク設計
VituixCAD2を用いシミュレーションを行い設計しました。今回は4th order Linkwitz-Riley(LR4)-24dB/ octになるように、クロス周波数で位相回転がないことを目標に設計しました。またインピーダンスが最低4Ω以上になるように最適化を行いました。
シミュレーション結果
実測
厳密な測定ではありませんが、REWを用いて周波数特性を測定しました。
測定結果よりクロス周波数で位相回転のないスピーカーができました。
小技としてツイーターのコンデンサにはマイカを並列に入れてあります。またウーハー固定のボルトをチタンボルトに変更しました。
参考資料:自作スピーカー 測定・Xover設計法マスターブック
アニソンオーディオフェス2020選曲
曲順 |
曲名 |
アニメ |
1 |
||
2 |
天女の歌 |
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3 |
天人の音楽Ⅰ |
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4 |
Yes!I Will |
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5 |
FADE |
頂いた感想
・“独特の艷やかさ、空間の広さがあって良き。”
・"市販のスピーカーのエンクロージャーを使い、綺麗にまとめてられましたね。良い音でした。
・ "小型のツイーターで非常に音場が広く(特に左右)、かつ定位がバッチリ決まっていましたが、会場の音量だとちょっと歪感が気になるときがありました。 堅牢なエンクロージャーを活かした引き締まった低域で、ウーファーがしっかりマッチしていたと思います。ツイーターとウーファーの繋がりも自然で、LR4ネットワークの効果が現れていました。またよろしくお願いします。
・ "今までLR4のネットワークで組んだ作品を何度か聴いたことがあるのですが、最も私の「好み」にマッチした音を聴かせて頂きました。潤い感や温もり感、それが女性ボーカルと相まったときの魅力に痺れました! そして、ユニットの能力を最大化するのもLR4。電子音もバッチリ決まってましたね!
・“オネアミスはタイトな低音が良かった。全体的に華やかで締りのある感じ。ナディアでは空間表現の良さを感じた。かぐや姫の物語では声のリアリティが素晴らしい。ガンダムでは高音にキャラクターを感じたが部屋の反射の影響かな。もっとデットな部屋で聴きこみたいスピーカーですね。
・"僕個人的に自作スピーカーとしての考え方を改めさせていただけた作品でした。 スピーカーを作るといったら通常エンクロージャーの設計をイメージしていましたが、既製品のエンクロージャーにユニットの変更とネットワーク回路の強化という改造スピーカーということでとても面白かったです。元の製品の音を聞いていないためどのように変化したのかがわからないのが残念でしたが、全体のバランスがよく聞いていて楽しい音でした。
・"ボーカルもオケも朗々と伸びよく聴かせる。市販品でこの音が出れば散財しなくて済むのにと思いました。一見市販品そのままと見えるほどまとまりがよいです。"
オーディオ所有機器
2020/9月現在の所有機器です。
メイン
・SP:totem acoustic mani-2 +スーパーツイーターFOSTEX T96A-EX
・パワーアンプ:M&M EL34PP(メンテナンス品)
・プリアンプ:April music Stello P200
・ネットワークプレーヤー:LINN Majik DS/2
・NAS: DELA HA-N1AH20
・レコードプレーヤー:MoFi Electronics Studio Deck
・アイソレーショントランス:ASSISTANCE DESIGN AIT-700L
・ポータブル電源:Anker PowerHouse
・その他:仮想アース(備長炭)×3、金属球仮想アース、仮想アースオカルト回路、zobelフィルター
サブシステム
・SP:telefunken RB41
・プリメインアンプ:MAS THE IKARUS
・ユニバーサルプレーヤー マランツ DV8300 dentecチューン
・その他:仮想アース(備長炭)×2
PC用
・SP:mclntosh mxa60
・プリメインアンプ:tangent amp-100
・ヘッドホンアンプ:masdrop CTH
Project Head Box 2 (オペアンプ交換)
・その他:大地アース、仮想アース(備長炭)×2(スピーカー用)
115V昇圧トランス
・ヘッドホン:AKG K701、AudioQuest Nighthawk 、veclosHPT-500
room shaper デジタル補正
Room Shaperというデジタル補正のプラグインを試してみました。
これは低周波の部屋の影響をデジタル補正で緩和するプラグインです。
いまいち分かってませんが部屋の影響で低周波の減衰時間が長くなる周波数があるので、これをデジタルで揃えてしまうプラグインのようです。
プラグインはプレーヤーに読み込み使用します。JRriver等で使用できます。
使い方はREWでスピーカーの特性を左右それぞれ測定し、結果を吐き出しプラグインに読み込ませます。読み込ませたら事前の処理を行い準備完了です。
肝心の音ですが第一印象として音の滲みがなくなりました。効果は自然で変なエフェクトをかけた感じはしません。むしろピュア度が向上したと感じました。
これは良いですね。しばらく様子を見ますが購入を考えちゃいます。
ただ処理が重いですね。ちょっと古い私のPCではギリギリな感じでした。あと再生したときに落ちる時がありました。安定動作待ちかもしれません。
参考までに部屋の影響が気になったのでREWでROOMシミュレーションしてみました。
実測もしてますが、大体あってますね。110Hzの谷と70Hzの山が気になります。
オーディオ所有機器
現在使ってるオーディオ機器を書きとめておく。
1年前から結構変わりました。更に変わったので修正しました。2020/2
メイン
・SP:totem acoustic mani-2 +スーパーツイーターFOSTEX T96A-EX
・AMP:自作アンプ
・プリアンプ:atoll pr300
・DAC:AIT Labo ES9018K2M
・ユニバーサルプレーヤー マランツ DV8300 dentecチューン
・ネットワークプレーヤー:yamaha NS-P2000
・NAS: DELA HA-N1AH20
・レコードプレーヤー:DENON DP-60L
・アイソレーショントランス:ASSISTANCE DESIGN AIT-700L
・その他:自作仮想アース×4 、zobelフィルター
サブ(普段使っているPC用)
・SP:mclntosh mxa60
・パワーアンプ:nuforce IA-7V3
・その他:大地アース、仮想アース×2(スピーカー用)、zobelフィルター