kenwood ls-1001を改造しました。このスピーカーはミニコンポK'sのスピーカーとして製造されたもので、ミニコンポのスピーカーとして販売してました。また単品でも販売されています。スピーカーのフレームがアルミダイキャストだったり、2枚重ねのバッフルだったりとコストをかけた作りとなっています。1993年発売なのでバルブは弾けてますが、まだ当時はコストをかけた設計ができたのだと思います。ペア6万のスピーカーですが今これを作ろうとしたら倍はしそうです。
音的には柔らかい音で中低音に厚みをもたせたものになっています。当時の流行だったのでしょうが、魅力はありますが今となってはもう少しスッキリした音にしたいなと思う方が多数おられるようで、ネット上に改造記事が多数のっています。値段も1万円以下(オークション価格は5千円前後)で買えるので遊ぶにはもってこいのスピーカーとなっています。SNSで音がいいと勧められたこともあり購入してみました。
まず周波数特性を測ってみました。これを見ると分かる通りに3-5kHzが凹んでいます。これは意図的にしていると思います。この辺りの帯域は重要でここを凹ませると落ち着いた音色になります。
次にお手軽チューンとしてバスレフポートに吸音材を詰めることと、内部に吸音材を追加することを考えました。バスレフポートに吸音材を詰めるのはイマイチでした。もしかしたら詰め方や材質にもよるのかもしれませんがお勧めできません。
つぎに内部に吸音材を入れてみました。これはかなり効果があり、バスレフポートに詰めた場合と比較して、変な癖がありませんでした。結果的に画像の量を追加することにしました。はじめは倍を追加したのですがスッキリしますが、このスピーカーの中低音が厚い音の魅力がなくなってしまうと感じて少量にしました。
次にネットワークの調整を試みました。このスピーカーは1次ネットワーク(-6dB/Oct)となっていて、ツイーター側に8.1μFのコンデンサと7.4Ωの抵抗、ウーファー側に2.2mHのコイルが入っています。コンデンサは4.7,0.47,2.7,0.27の並列になっています。
ネット情報だとコンデンサを4.7μF、ウーファーを1.2mHに変更すれば良いとかいてありましたが、測定してVituixCADを用いてシミュレーションしてみました。
まずはシミュレーションで改造前のものです。だいたい上の測定結果と合っていることを確認しました。カタログのクロス周波数は1500Hzなのですがこれだと1200Hzですね。
次にネット推奨のネットワークです。コンデンサ:4.7μF、コイル:1.2mH
これだと600-1200Hzの帯域が盛り上がってしまいシミュレーション上はイマイチな結果となります。ツイーターの方は良さそうです。
最終的に採用したネットワークです。コイルはそのままの2.2mH、コンデンサは5.4μFとしました。2.7μFのコンデンサを抜いただけです。これでカタログのクロス周波数:1500Hzになりました。たぶん最終的な音の調整で音に厚みを持たせた方がいいということになり急遽2.7+0.27μFを足したのだと思います。元々は4.7+0.47μFだったのではないでしょうか。
試聴した結果、適度に音に厚みがある感じで改造前よりスッキリした音になりました。
簡単なので気になった方はLS-1001を手に入れて改造してみてください。
ネットワークに電解コンデンサを使っているので、余裕があればフィルムコンデンサにまた抵抗をセメント抵抗から無誘導巻線抵抗に変えるともう少し音が良くなると思います。予算に余裕があればやってみて下さい。