低燃費タイヤについて気になったので少し調べてみた。
この頃は低燃費タイヤに転がり抵抗係数、ウェットグリップ性能に基づきラベリングがされている。
等級Bを基準として転がり抵抗等級でそれぞれ燃費改善効果がどのくらいあるかを表にしてみた。上記HPより転がり抵抗の燃費への寄与率は10%とした。
等級 | 転がり抵抗係数 | 等級B対比(%) | 燃費改善(%) | ||
上限 | 下限 | 平均 | ※寄与率10% | ||
AAA | 6.5 | 6.0 | 61 | 3.9 | |
AA | 6.6 | 7.7 | 7.2 | 73 | 2.7 |
A | 7.8 | 9 | 8.4 | 86 | 1.4 |
B | 9.1 | 10.5 | 9.8 | 100 | 0.0 |
C | 10.6 | 12 | 11.3 | 115 | -1.5 |
これより燃費改善効果はAAAで3.9%、AAで2.7%、Aで1.4%Cで-1.5%の結果となった。ここで燃費が1%違った場合にどのくらいの改善効果があるか費用を算出してみた。
条件; 燃費1%改善、基準燃費:10km/L、
走行距離:10000km、ガソリン代:135円/L
とした場合、改善効果としては約1350円となる。4%燃費を改善したとして5400円なので、AAAのタイヤを使用して年間約5000円のお得になる計算だ。
ここで忘れてはいけないのはウェットグリップ性能である。基本的には転がり抵抗の低いタイヤはその分グリップしないタイヤと言えるため相反する要素となる。(エネルギーロスが大きいということはその分グリップするということである。)ただ最近はタイヤメーカーの努力である程度両立させることができるようである。これは転がり抵抗と、グリップ性能ではエネルギーロスの周波数帯が違うからである。周波数帯は転がり抵抗では低周波(100Hz)くらい、グリップは高周波(10000Hz)くらいである。
http://www.sumitomo-chem.co.jp/rd/report/theses/docs/2011-1J_3.pdf Fig.11より
上図に示すように転がり抵抗とグリップを両立するには転がり抵抗:100Hzのエネルギーロスをおさえ、グリップ:10000Hzのエネルギーロスを上げれば良い。各社研究をしているが基本的にはゴムにカーボンブラックの代わりにシリカを配合することによってこの性質が得られるようである。
いくら燃費の良いタイヤでも雨の日に安全に止まれないのでは意味が無い。こちらも考慮したいものである。
タイヤの転がり抵抗を考えた場合に、空気圧による影響は大きい。イメージとしては硬ければエネルギーロスは小さい。変形が少ないからだ。例えば鉄道の車輪は転がり抵抗がかなり小さく自動車用タイヤの約1/10である。なので鉄道はエコなのである。
実は転がり抵抗の9割はタイヤの変形と言われている。他の要素の接地摩擦と空気抵抗は残り1割でしかないのだ。(下の資料:タイヤの転がり抵抗参照)
http://www.mlit.go.jp/common/000047550.pdf
ということで省燃費タイヤの性能を生かすにはタイヤの空気圧管理が必須である。上図を見て分かる通り、通常使用域より空気圧が小さいとすぐに20~30%位転がり抵抗が増えてしまう。寄与率10%なら2~3%燃費が悪化するということである。従ってタイヤの空気圧管理をしない人が等級AAAのタイヤを使っても、等級Bに燃費が負けるという場合がありえる。省燃費を考えるのであれば、通常空気圧の範囲で10%程度高めに入れ、通常使用域を常に切らないように乗るのが良さそうである。
個人的には転がり抵抗:Aでウェットグリップ:bあたりを選択し、空気圧を少し高めに管理するのが財布にやさしくエコなのではと考える。